美容医療の世界では、ここ数年「再生医療的アプローチ」が注目を集めています。中でも、点滴や注射による美肌治療は大きなトレンドとなり、幹細胞エキス、エクソソーム、そしてPDRNといった成分が次々と脚光を浴びてきました。
こうした成分は医療現場だけでなく、化粧品原料としても研究・応用が進められており、美容業界全体を大きく変えつつあります。
本記事では、この3つの注目成分について分かりやすく解説し、それぞれの特徴や違いを整理します。さらに「ヒト由来」と「植物由来」の違いにも触れ、化粧品原料として選ぶ際のポイントをお伝えします。
それぞれどんなもの?

幹細胞エキス

幹細胞エキスとは、主に幹細胞を培養する際に得られる「培養上清液」から抽出された成分のことです。細胞が分泌する成長因子やサイトカインが豊富に含まれ、肌のターンオーバーを促進したり、ダメージ修復をサポートする働きがあります。
エイジングケアの観点から人気が高く、シワやたるみ、乾燥など幅広い悩みに対応できるのが特徴です。
【化粧品表示名称の例】
- ヒト脂肪細胞順化培養液エキス
- リンゴ果実培養細胞エキス
- アルガニアスピノサカルス培養エキス
エクソソーム

エクソソームは、細胞から分泌される細胞外小胞(Extracellular Vesicles; EVs)で、細胞間の情報伝達を担っています。中にはmRNAやmiRNA、タンパク質などが含まれ、これらがターゲット細胞に取り込まれることで生理作用を発揮します。

炎症抑制や組織修復、免疫調整などの効果が期待され、美容の分野では、肌のハリ感向上や再生力アップに寄与する可能性があり、まさにホットトピックの成分です。
【化粧品表示名称の例】
- ヒトサイタイ血由来エクソソーム
- ツボクサ葉小胞
- ツバキ花小胞
PDRN

PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)は、鮭の精子などから抽出されるDNA断片を利用した成分です。組織修復や血流促進をサポートし、創傷治療や皮膚再生に医療分野で用いられてきました。美容では”サーモン注射”として知られ、肌のハリや弾力を取り戻す目的で使用されます。

近年は韓国を中心に、植物由来のPDRNが新たなトレンドとなっており、動物由来に抵抗のある消費者にも受け入れられやすくなっています。
【化粧品表示名称の例】
- DNA-Na
- DNA-K
ヒト由来と植物由来でも違う!?

ヒト由来と植物由来で違う点
これらの成分は「ヒト由来」「植物由来」など、原料の出どころによって大きな違いがあります。ヒト由来は本来の再生医療に近いアプローチが可能ですが、倫理的・法規制的な問題や安定供給の難しさといった課題もあります。
一方、植物由来は安全性が高く、品質面の差が少ないため、化粧品原料として広く受け入れられやすいというメリットがあります。
化粧品原料にするなら植物由来がレパートリーの点からおすすめ!
化粧品の世界では「継続して安心して使えること」が重要です。その観点からすると、植物由来成分は調達の安定性・安全性・多様な選択肢の広さにおいて非常に優れています。
特に、植物由来PDRNが韓国でブームになっているように、消費者にとって「安心感」と「トレンド性」を両立できる原料選びは今後ますます重視されるでしょう。

TriBeauteのおすすめ原料!
植物幹細胞エキス:PhytoCellTecシリーズ
植物の幹細胞を持続可能に培養し、その有効成分を化粧品原料として活用するMibelle社独自のPhytoCellTec(フィトセルテック)技術を用いた植物幹細胞シリーズです。PhytoCellTecシリーズは幹細胞の培養液ではなく、植物の根や葉から少量採取した組織から幹細胞カルスを誘導・培養し、細胞をつぶしたものになります。元の生物から細胞レベルで分離して培養していることになるので、通常のエキスに比べて不純物が少ない(単一の品質が期待できる)という特徴があります。

こちらの表の様に由来の植物毎に効果・効能が若干異なりますが、一番人気なのは「PhytoCellTec Malus Domestica」という、「腐らないリンゴ」と呼ばれる特殊な品種のリンゴから採れる幹細胞エキスです。肌に良いのはもちろんのこと、毛包幹細胞の機能維持を助けるので、育毛やまつ育の分野でも人気の原料です。
また、最近リブランディングして、植物幹細胞エキスでありながら植物エクソソームとしての効果も発揮するというコンセプトを押し出している「PhytoCellTec Exosomes / PhytoCellTec Goji」も、今、お問い合わせが多くなっています。「PhytoCellTec Exosomes / PhytoCellTec Goji」については、今年の4月に大きなアワードも受賞しているので、世界に認められた機能性成分とも言えます。
▶▶(参考)スペシャル記事:春のアワード受賞原料のご紹介
植物由来エクソソーム:ICP EPOTF Exosomeシリーズ
植物由来のエクソソーム原料でおすすめしているのが、ICP EPOFT Exosomeシリーズです。現在10種の植物ラインナップをご用意しており、製品の狙いたい効果や世界観に合わせて楽しくお選びいただけます。

ICP EPOTF Exosomeシリーズの特徴はエクソソーム濃度の濃さです。
径の異なる二重膜間に電場を掛けることで、膜間に濃縮する独自の製法で精製しているため、通常の植物エクソソームと比較して10-1000倍濃度が濃いという点が売りです。
現在人気が高いのはやはり「ICP EPOTF Exosome Centella」(ツボクサエクソソーム)ですが、鎮静や抗炎症に優れる和ハーブ・シソのエクソソーム「ICP EPOTF Exosome Perilla」や、珍しいけど華やかなイメージもあるドラゴンフルーツ・エクソソーム「ICP EPOTF Exosome Dragon fruit」も、他には無いユニークさが付与できるため、ご注目頂きたいです。
▶▶全ラインナップはこちらよりご確認頂けます。
植物性PDRN:Damask Rose PDRN (1000)
植物由来のPDRNも出回り始めていますが、TriBeauteでは華やかで化粧品としてのイメージも非常に良い、ダマスクローズ由来のPDRNを取り扱っています。
ダマスクローズは香りのイメージが強いかと思いますが、実はポリフェノールが豊富に含まれており、抗酸化作用が高い植物です。原料は、そんな植物の特性を活かしているので、ハリ・弾力だけでなく、肌トーンの均一化やくすみの改善も期待できます。
高濃度なので少量で効く、という点もおすすめできるポイントです。
変わり種PDRN:tFNA
植物やヒト由来のものではなく、酵母由来の合成核酸である「tFNA」という原料もおすすめしています。
合成ならではの強みとして、核酸をピラミッド型(四面体)にすることで、浸透性を向上した原料です。
老化細胞の予防や、抗糖化、DNAダメージの保護など、肌の老化の要因を幅広くケアすることができるマルチアンチエイジング原料となり、”ヴィ―ガンPDRN”のようなコンセプトで使っていただくのも良いのではないでしょうか。
まとめ
幹細胞エキス、エクソソーム、PDRNはいずれも再生医療の知見を背景に持ち、美容業界で注目を集める成分です。それぞれの由来や作用の特徴を理解することで、自社の商品コンセプトや顧客のニーズに合った原料選びが可能になります。
特に、植物由来成分の選択肢が広がっている現在、安全性・安定供給・トレンド性を兼ね備えたアプローチこそが今後のカギと言えるでしょう。
TriBeauteでおすすめの原料が製品作りのお役に立てば幸いです。