コラーゲンは、体内で最も豊富に存在するタンパク質であり、特に皮膚、骨、軟骨、腱、靭帯など、さまざまな組織の構造を支える重要な役割を果たしています。皮膚においては、コラーゲンは肌の弾力性や強度、そして健康を保つために欠かせない成分です。最近“成分美容”が流行していますが、コラーゲンはこのトレンドが来る前からずっと信頼感のある成分として人気を集めていました。最近でも研究は続けられており、様々な新知見が化粧品にも応用されています。
今回はそんなコラーゲンについて、詳しく解説します。
コラーゲンとは
コラーゲンは、アミノ酸が鎖状に結びついた構造を持つタンパク質で、三重らせん構造を形成します。この三重らせん構造により、コラーゲンは強度を持ち、組織を支える役割を担います。コラーゲン三重らせん構造を構成するポリペプチド鎖は主にグリシン(Gly)、プロリン(Pro)、そしてヒドロキシプロリン(Hyp)等のアミノ酸から構成されています。しかし、これらのアミノ酸の配列が異なるため、コラーゲンには多くの種類があり、現在人の体内では約28種類が確認されているとされ、それぞれが異なる機能を持つことが知られています。今回は肌において特に重要なコラーゲンの種類として、1型、3型、4型、7型、17型に注目し、それぞれの特徴をご紹介します。
1型コラーゲン:最も豊富で強力なコラーゲン
1型コラーゲンは、皮膚、腱、靭帯、骨などの組織に最も豊富に存在するタイプのコラーゲンで、体内のコラーゲンの約90%を占めています。1型コラーゲンは非常に強固で、皮膚においては肌の弾力性や張りを保つ役割を果たします。このコラーゲンは皮膚の真皮層に多く含まれており、肌の構造を支える基盤を提供します。
<役割>
・肌の弾力性を支える
・皮膚の強度や構造を保つ
ちなみに、皮膚内のコラーゲン量は年齢に大きく影響を受け、35歳頃から減少し始め、50歳以降は急激に減少していきます。また、加齢に伴いコラーゲン量だけでなくで質も悪くなると言われています。
1型コラーゲンは真皮に占める割合も多いので、スキンケア等で補うことでシワやたるみといった老化現象を改善していきたいところです。
3型コラーゲン:成長期や修復に関与するコラーゲン
3型コラーゲンは、1型コラーゲンと同様に真皮に含まれていますが、主に成長期や皮膚の修復過程で重要な役割を果たします。3型コラーゲンは、傷の治癒過程で新しく形成されるコラーゲンの主成分であり、傷が治る過程で一時的に増加します。
<役割>
・皮膚の再生を助ける
・組織の修復を促進する
また、3型コラーゲンは若い肌に多く見られ、年齢とともにその量が減少するため、若々しい肌を保つためにはこのコラーゲンの維持が重要です。
4型コラーゲン:基底膜を強化
4型コラーゲンは、肌の表皮と真皮を繋げる基底膜に存在し、細胞を支持する役割を持っています。基底膜は、皮膚の構造的な安定性を保つために不可欠であり、4型コラーゲンはこの基底膜を構成する主要な成分です。
<役割>
・基底膜の強化
・皮膚細胞の安定
7型コラーゲン:表皮と真皮の接着に関与
7型コラーゲンは、表皮と真皮を接着する役割を担っており、基底膜の形成に重要です。このコラーゲンは皮膚の表皮層と真皮層を繋げる接着剤のような働きをします。
<役割>
・表皮と真皮を結合させる
・皮膚の構造を安定化させる
・外的な力から皮膚を守る
17型コラーゲン:細胞間接着に寄与するコラーゲン
17型コラーゲンは、皮膚の基底膜と、毛包にあるバルジ領域に特異的に存在するコラーゲンで、細胞間の接着を助ける役割を果たし、細胞間の安定性を保つために重要です。
また表皮幹細胞や毛包に存在する色素幹細胞、毛包幹細胞の維持に不可欠です。
<役割>
・幹細胞を維持する
・細胞間の接着を助ける
独自研究が進んでいるコラーゲンも!
5型コラーゲン
5型コラーゲンは皮膚での発現は少ないものの、1型と3型コラーゲンを束ねる重要な役割を持っています。
→5型コラーゲンが無いコラーゲン繊維は、そうでないコラーゲン繊維に比べて大きさや形が不ぞろいであることが分かっています。
6型コラーゲン
ビーズ状の糸状コラーゲンで、真皮内に存在する各種組織を結びつける役割があります。
→オートファジーを促進する効果が確認されています。
18型コラーゲン
基底膜などの幅広い層に存在するコラーゲンで、血管新生の調整や、創傷治癒の調整の役割があります。
→過剰な発現は創傷治癒を遅れさせる可能性が示唆されています。
コラーゲンは化粧品からどのように取り入れられる?
原料
表示名称にコラーゲンという表現が含まれたりする、いわゆる「コラーゲンそのもの」の原料が豊富にあるので、そういった原料が配合された化粧品を使うことで、効率的に肌にコラーゲンを取り込めます。
【Tribeauteでおすすめしているユニークなコラーゲン原料】
ReCol17(リコル17)/MiniCol17(ミニコル17)
発酵法で生産された動物由来ではないバイオヴィ―ガンコラーゲンで、注目を集める17型コラーゲンです。上記で示した通り17型コラーゲンは幹細胞の維持に欠かせない一方で、発現することで基底膜関連タンパクの発現を促すシグナル的な役割を持つことでも知られています。
Reju Moon(リジュムーン)
こちらは珍しくクラゲから抽出されるコラーゲンです。クラゲには、トカゲのしっぽの様に体の一部が損傷を受けても自分で修復できる“自己修復能”が知られており、そんなクラゲ由来のコラーゲンなので、高い肌再生効果が期待できます。
コラーゲンの産生を促す
コラーゲンそのものではなくとも、皮膚の様々なシグナルに働きかけることで体内のコラーゲンの産生を促す原料も多く存在します。
【Tribeauteでおすすめしているコラーゲンブースター】
PhytoCellTec Exosomes(フィトセルテック エクソソーム) / PhytoCelltec Goji(フェイトセルテック ゴジ)
真皮線維芽細胞に、コラーゲンの発現を促すことで知られているエクソソームに着目し、自分のもつエクソソームの発現を高めることで、間接的にコラーゲンの産生をサポートする原料。エクソソームがブームの今、おすすめの原料です。
Liftderm CS(リフトダームCS)
ペプチドとビタミンのハイブリッド原料で、なんと塗布後1時間でコラーゲンの産生を促進するというスピード感のあるデータがあります。朝使って日中のハリをキープしたり、夜に使って寝ている間の集中リペアにするなど、様々な使い方ができる優秀な原料です。
コラーゲンの分解を抑制する
体内の古いものや不要なものは、分解されて老廃物として体内に排出されることによってバランスを取っていますが、紫外線やストレスなど過剰なダメージを受けることで必要なものまで分解されてしまうことがあります。コラーゲンも例外ではなく、コラーゲンを分解する酵素はMMP(マトリックスプロテアーゼ)と呼ばれており、それぞれ特定のコラーゲンの分解に関わっています。ですので、このMMPの働きを阻害するような原料を使うことでも、体内のコラーゲンを守ることができます。
例
MMP-1:主に1型、3型コラーゲンを分解する
MMP-3:3型、4型コラーゲンの他に真皮内の幅広い物質を分解する
MMP-9:主に4型コラーゲンを分解する
【TribeauteでおすすめしているMMPブロッカー】
Progeline(プロジェライン/プロジェリン)
老化細胞に特徴的な負のループを止めることで肌の若返りに寄与するペプチド原料です。MMP-1、MMP-3、MMP-9それぞれの発現を抑制することで、肌に存在するコラーゲンを幅広く保護する効果が期待できます。
RegeneSEA(リジェネシー)
極寒の海の中で育つ褐藻には、寒さなどの過酷な環境から体内の限られた成分を守る力があり、これから抽出されたエキスであるRegeneSEAにはMMPの発現を抑制する効果があります。
以上、コラーゲンの基本や、TriBeauteおすすめのコラーゲン関連原料を紹介致しました。
製品作りのお役に立てば幸いです。